そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

「メディア」であるということ

この一か月、複数の用事で忙しくしていたけれども、ひとまずかたがついた。結果はどれも残念としかいいようがない感じに終わったが、まあ、いろいろあったのでしょうがない。最低限の義理は果たした(=単に「投げ出してない」という程度の意味)ということ…

図書館再雑感

リカーズは皿洗いする元気を出そうと思うのだが、いつもの憂鬱に襲われ、自分の家にいながら他所の人間のような気がしてならなかった。ラークソーケンの風車小屋の、暖炉の燃える石壁の部屋で、ダルグリッシュにウイスキーをご馳走になった時の方が、自宅の…

残雪夜録

雪は積もらなかった 降ったのがそもそもまちがいだったのかもしれないといえるような気候だった 日陰に隠れているうちに、わずかばかりの塊もみるみる消え去り日が落ちても、気温は下がらず―― (ひとり/ただくずれさるのを/まつだけ) …… 目のくらむような…

【お知らせ】本ダイアリーほかいくつかの個人用メディアにPDライセンス(*1)を設定しました

2月1日付で、islecape名義を使い利用しているいくつかの個人用メディアについてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの【パブリックドメイン】(PD=権利放棄)を設定しました。 2011年2月4日補記:そういえば、「PDにした」ということを書いておきながら、…

手のうちを明かすということ

当たり前のことだが、この世界に自分と同じ人間はいない。たとえ「遺伝子がまったく同じ」という一卵性双生児であっても、100%同じ経験はしない。遺伝子は同じでも、その生育歴が双子をまったく別の人格に育て上げる。生活上の好みや些細な癖から、政治信条…

ヘイトスピーチの法規制について考えるブロガーへ

http://d.hatena.ne.jp/islecape/20110111/p1#c1294817745 より このページ http://d.hatena.ne.jp/islecape/20110111/p2 は独立したブログエントリとして意図されたものではなく、上記コメント欄の続きです(投稿日時は2011年1月15日午後11時53分……くらいだ…

「表現の自由は他者を傷つけることも当然視する」と主張した人を批判していた人へ

※冒頭付記(副詞、指示代名詞、こなれない表現など可能なかぎり元の文から意図を外さないよう修正。誤字脱字訂正。一部文言追加。最終更新日時・2011年1月14日午前2時9分)僕も日本の現在の人権状況について懸念は感じています。また、そうした現状について…

オンラインに生きる(PART3)

http://d.hatena.ne.jp/islecape/20101231/p1 新しい年。たぶん三日坊主も無理。id:islecapeというアカウントを使い始めてそろそろ3年になる。僕が2008年3月末からWeb上で操演している、テキストを基本に組み立てられたこのオンライン人格。10代でもあるまい…

フェアウェル2010

去年に引き続き、今年も「毎月」書けなかった…… 2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 | さあ、上記のアーカイブ一覧リストからは何月が欠けているでしょうか? 今…

時として突きつけられる不条理を「不条理」と感じるのは独善かもしれない(改題)

前回、劇場版SPの簡易レビューを投稿した際に、最後のほうで話がずれ始めたその続き。 「こちらは銀河超空間土木建設課のプロステトニック・ヴォゴン・ジェルツです」声は続けた。「すでにお気づきと思いますが、銀河外縁部開発計画に基づき、この星系を通る…

SP野望篇を見て「革命家になるのはやめて詩人でいよう」と思った

「ねえ、なに。あれは超能力者なの?」80分かそこらの上映を終え、劇場は完全入替、と退場を促す声に追いやられ通路に出る観客のなかで、60代くらいの夫婦と思しき二人のうち、男性が戸惑ったように連れの女性に訊いていた。 映画「SP」公式サイト http://sp…

例のもふもふウサギが商品化されるそうなので、いまさら(他ブログでの)コメント対応

[DVD&BD] CAT SHIT ONE -THE ANIMATED SERIES- http://www.catshitone.jp/dvd.html ほらこれ。「流血バージョン!」というのがまたいかにも無邪気ですな。 というわけで思い出したので、 もふもふしたウサギが主演する戦争アニメは、ただそれだけで非難に値…

黒木ルールに基づく実践(『YOMIURI ONLINEに掲載された「iPhoneで人の情報丸見え」記事について、当事者から。』に関して)

このエントリについて:簡単に言うと、あるブログのコメントに対し(サイトオーナーのことはまるで考えず)問いかけをしたもののコメント欄そのものが削除されてしまったので、声をかけた相手に「なにかある?」と呼びかけようという意図によるものです。非…

言語は思考を規定する。言語が思考を阻害する。

前回のエントリで、自分の素人創作について語ったのと相前後して、妙に「処女作」という言葉をあちこちで聞いたので、もともと気になっていたこともあり、ひとこと書いておこうと思う。何が気になったのかというと、 しかし、作る前が処女だったわけで、発表…

六〇〇〇年がそこで眠っている

一九七〇年代のことだ。妻キャロルとわたしは地方の映画館で、なんともひどい映画を見ていた。あまりのひどさに、わたしは途中でつぶやいた――「こんなところで時間をつぶしてないで、もっとおもしろいことをしたいな。今の時代から滅亡するまでの人類の歴史…

僕の妹もそんなに可愛いほうじゃない

妹とはそういうものです。聞くところによると、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』について、メディアワークスがアニメ化を機会に猛プッシュしているらしい。個人的にはあまり興味がなかったので、視聴域局である東京MXでのTV放映はスルーした(というか…

てんでばらばらな方を見つめながら、みな一歩踏み出しあぐねている

window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://platform.twitter.com/widgets.js"; fjs.paren…

アンジーのゲーム

「私の友だちなんて、もう二週間も行方不明だよ」 ええっ。私はかなり驚いた。老人界では、そういうことはよくあることなのか? 「いやあ、徘徊老人のために警察は動いてくれないしねえ。いつものことだから、家族ももう諦めてるみたいだよ」 「でもさすがに…

雄山「学者どもに翻訳をやらせるなっ!!」中川「ははっ」

以下エントリを未読の方は、ぜひそちらからご覧ください。 翻訳者「25年前に頼まれた翻訳オワタ\(^o^)/」 出版社「え」 http://d.hatena.ne.jp/islecape/20100823/p2 上記エントリの続編として、岩波文庫のあとがきで翻訳者がいかに「怠惰につき出版が遅れ…

「もふもふウサギ」エントリの落ち穂拾い(暫定版)

※拾いこぼしがあるような気もするので、気付いたら随時追加します。 前回投稿したエントリ「もふもふしたウサギが主演する戦争アニメは、ただそれだけで非難に値する」(以下「もふもふ〜」)について、ほとぼりも冷めたようなのでいくつか*1。お忙しい方も…

翻訳者「25年前に頼まれた翻訳オワタ\(^o^)/」出版社「え」

塩尻公明さんの悲劇 岩波文庫版ジョン・スチュアート・ミル著『自由論』(原題:"On Liberty")のあとがきに、岩波書店の吉野源三郎がこんなことを書いている。 一九三八年ごろ、三木清、栗田賢三両氏と私とで相談して、岩波文庫に収録すべき哲学関係の文献…

もふもふしたウサギが主演する戦争アニメは、ただそれだけで非難に値する

※2010年8月24日補記:本記事は当ダイアリーのものとしては珍しく、大きな反響を呼びました。Webで公開して「これほど多くの人に見られるとは思わなかった」という言い訳をしても通用しないとはもちろん考えていますが、実際そう考えがちになってしまうのは事…

流言とデマとTwitter

Webに真偽不明の情報を流す行為を「入会地の火遊び」とでも呼ぶのはどうだろう。 そのうちすべてを燃やす。 流言拡散装置としてのTwitter むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしていました。毎日毎日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあ…

ニューヨークよ、おまえもか

東京ローカルのテレビ局・東京メトロポリタンテレビジョン(MXTV)のニュースで、米ニューヨークの24時間ニュースチャンネル"NY1(ニューヨーク・ワン)"の報道を字幕つきで流すコーナーがある。話によれば提携局らしい*1。それによると、ニューヨーク市の公…

発言と責任

ミルクを渡されて 首をかしげ臭いを嗅ぐ人がいるそのまま冷蔵庫に戻す人がいる製造元に問い合わせる人がいる そしてこぼす人が出てくる拭き取ろうとする人はいるが、落ちきるものではない それよりも拭き取っているのがこぼした本人でないのはどういうことだ…

『シャーロック・ホームズ』ワトスンが強すぎる件についてちょっとひとことふたことみこと

※冒頭補記:ちょこちょこ事実誤認があるようで、その都度訂正を入れてます。ごめんなさい。表題の通り、3月17日にガイ・リッチー監督、ロバート・ダウニーJr.主演のワーナー・ブラザース映画『シャーロック・ホームズ』を鑑賞した。ショッピングモール併設の…

批判はかわさず、それで受けた傷口を観察する

十九世紀後半から二十世紀初頭にかけて、非イスラーム・近代主義の立場から、『女性解放』(1899)を著すなどし、「エジプトフェミニズムの父」と呼ばれる弁護士のカースィム・アミーンが「一夫一婦」を称揚する運動を行ったことについて、人類学者で、女性…

「私」と「公」のあいだ(Twitterにおける情報選択の困難さについて)

Tweak Twitter上で発言をフォロー(購読)している人が増えてきたからか、あるいは、フォローしている人たちがTwitterというメディアに「慣れた」せいなのか、僕の個人的な観測範囲内でもかなり直截的な性の話題が目につくようになってきた。旧来型の受動系…

残雪録

「ここなら、二日は持つだろう」 そんなふうに言われてもちろんわかっていた それでも、ひとつところに留まってはいられなかった 林立するいくつもの塔 このうえまだ建てるつもりらしい 横を駆け抜けた子供たちは、雪を初めて見たようなはしゃぎぶり次に雪を…

東京鮫紀行〜初詣篇(仮)

あんまり天気のよくない隅田川…… どうも。鮫です。後ろにボケて写っているのは永代橋です。 正月のうちに、と、一月三日、初もうでに行きました。七草のいまだに頭が正月気分なので、もっとあとで行ってもよかったんですが、そうなるとこのエントリの投稿が…