そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

例のもふもふウサギが商品化されるそうなので、いまさら(他ブログでの)コメント対応

[DVD&BD] CAT SHIT ONE -THE ANIMATED SERIES-
http://www.catshitone.jp/dvd.html

ほらこれ。

「流血バージョン!」というのがまたいかにも無邪気ですな。


というわけで思い出したので、

もふもふしたウサギが主演する戦争アニメは、ただそれだけで非難に値する
http://d.hatena.ne.jp/islecape/20100719/p1

関連です。

「まだやんのかよ」とうんざりする人もおられるでしょうかね。僕は元気です。コメントとかメールとかの応対で睡眠時間が減って夏負けしたくらいですからそうとう体力的にはしんどかったはずなのですが、すっかり喉元過ぎた感じです。元気です。寒いです。



で、

三毛猫艦橋 釣りタイトルなのはわかってるが
http://mikemaneki.blog.shinobi.jp/Entry/268/

のコメント欄を久々に見返したところ、「僕のブログの該当エントリのコメント欄にお越しください」と書いたもののコメントが続いていたようなので、いちおうこちらでもエントリにしました。まあ、いまさらながら。

まず前提として、映画

スターシップ・トゥルーパーズ [Blu-ray]

スターシップ・トゥルーパーズ [Blu-ray]

は、R.A.ハインラインの小説
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))

宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))

を原作にしています。

『宇宙の戦士』のあとがきによれば、日本での訳出時にちょっと悶着したそうで(詳しくは小説479頁からの「訳者後記」)。当時は今より戦時日本の軍国主義を知る人が多くいたでしょうし、そうなるのも無理はないことです。ちなみに僕は「1」しか見てません(「3」のDVDは持ってますが、そのうち見ようと思いつつ封も切ってない。そういえば『アイアンマン』も、『シャーロック・ホームズ』も封を開けてなくて、積DVDが溜まっていくなー……というのはいいとして)。考えてみれば、民放局で(深夜に)無料で放映されていた*1ので、話の流れからするとそれは批判対象かもしれませんがね(冒頭に警告があったような?)。

話を戻します。

ハインライン原作はわりと本気で戦争賛美的なんではないかと言われているとかなんとか。一方で『スターシップ・トゥルーパーズ』は、「視覚効果のフィル・ティペットが敵バグ軍団を人間らしく仕上げ、監督ポール・ヴァーホーヴェンが人間側を木偶人形のように演出するという、転倒したコンセプトが功を奏し、原作を損なわずに、戦争の本質を戯画化した居心地の悪い作品に仕上げることに成功している」(新・SFハンドブック (ハヤカワ文庫SF) 332頁「映画化されたSF20選」)*2というような感じで。そういう作品理解でした(cf. http://cocoa.2ch.net/movie/kako/961/961989788.html )。


したがって、

無題
>スタシトパのバグは、ラクダと違ってアラブ人を寓意してないので、僕からすれば、そこに差があると思います(将来地球人が昆虫型宇宙人とコンタクトして、その宇宙人の一部から「なんだこれは!」「いや、昔の娯楽作品ですし……」「けしからん!!」といったことが起こるかもしれませんね)。

では、スターシップトゥルーパーズファシズムの称揚と捉えるのは不適当でしょう。
圧倒的な力を振るって機械獣を倒すマジンガーZや、圧倒的な力で悪魔を打ち倒す神様はファシズムの称揚ですか?
人類VSバグズの戦いを、人間VS人間と知覚するからこそ、それをファシズムに準えられるのでしょうに。
言い訳をしようとして墓穴を掘るとは、話になりません。
【2010/07/21 23:30】 [トーリセガール(猿)]

言及先エントリへのコメント「『スターシップ・トルーパーズ』などは、言葉も通じない虫どもと殺し殺されながらもファシズムを称揚するたいへん爽快極まりない映画」というのはSF者としてのネタなんですが、不適当だったようですね。すいません。「称揚」は「揶揄」と読み替えてください。あと「トルーパーズ」は脱字です。

ただ、「ファシズム」といったのは「人類が虫と戦争をしているから」ではなく、あの作品の世界観において「軍人になることで市民になれる(非軍人は二級市民)」という設定にかかっています。『マジンガーZ』は知りませんが、たぶん作品の舞台は現代風の社会で、民主制なんじゃないですかね。その場合は「暴力」が問題になると思いますが、それは別の話で。

僕はわりとよく墓穴を掘ってますが、トーリセガールさんが問題視されたコメントがそうだとは思いませんね。

無題
横レスで申し訳ないですし、初めて訪問させていただくよそ様のブログでいきなり意見を言うのは大変失礼かと思いますが、どうかご容赦願います。

スターシップトゥルーパーズのあのバグ達は原作では日本人や共産主義者を暗喩してますよ。
命令に従順で完全な階層社会ってことで。
確か原作者のハイラインはカミカゼという理解できない行動から発想を得た、とか。映画版と原作では違いますが、少なくともネタ元は私達の祖父の一部です。
それ考えるとあの映画の怒涛のごとく襲来するバグ達は、中国軍の人海戦術や日本軍のバンザイ突撃に見えますね。
ちなみに三作目ではご丁寧にカミカゼバグまで出てきました。

これで見方が変わるかどうかはアナタしだいです。
ただ露骨じゃなければ良いというのでしたら考え物ですよ。
【2010/07/27 00:00】 [T-95(亡)信者]

『CAT SHIT ONE』については「原作未見、アニメのみ言及」でしたが、『宇宙の戦士』と「スタシトパ」はいずれも知っていますし、その周辺問題についてもあるていど承知しています。でも、見方は変わりません(僕としては『宇宙の戦士』と『スターシップトゥルーパーズ』は完全なる別物と考えています*3)。ちなみに「スタシトパ」というのは内藤泰弘さんによる「スターシップトゥルーパーズの不穏当な略」*4です。

>少なくともネタ元は私達の祖父の一部です。

というのは、左寄りな僕の政治信条からすればどうでもいいことです。

……

なーんて冗談*5を書くとまた怒られそうですが。

僕の祖父はふたりとも故人ですが、父母方とも第二次大戦時に兵卒としての従軍経験があります(父方は農家の四男か五男かでさっさと徴兵され、母方は満州で通訳をしていたとき現地で徴兵?とか。父母は戦後しばらくしてからの生まれで、祖父のどちらか一人でも戦死していれば僕は生まれていません)。

しかし僕は今回*6の『CAT SHIT ONE -THE ANIMATED SERIES-』について、日本の作品のアラブに対する視線、つまり「他者へのふるまい」を大いに問題にしているので、「日本人(自分も含まれる?)が揶揄されている」ということには特に別になにも(「欧米の日本への視線」は巡り巡って「他者へのふるまい」問題になると思いますけど、ここではあえて省いた、ということです。)。

無題
どうもこんにちわ。初めて書き込みます。

>もふもふしたウサギが主演する戦争アニメは、ただそれだけで非難に値する。

に対する感想なのですが、だったら宮崎駿の雑想ノートや泥まみれの豚、名探偵ホームズの「海底の財宝」でのテ―ムズ川での海戦シーンなんかはどうなるんでしょうね? 
【2010/07/29 14:57】 [名無し岩手県民]

「だったら」がどこにつながるのかよくわかりません!

*1:いくらか修正されていたとか。

*2:僕はバグが「人間らし」いとは思いませんでしたが。

*3:といって、『宇宙の戦士』に「ショック」を覚えたりはしません。ハインラインはそんなに好みではないですし、『夏への扉』が先にあげた『新・SFハンドブック』でオールタイム・ベスト1なんて首を傾げるばかりですが。

*4:トライガンマキシマム (2) (YKコミックス (888)) 196頁

*5:「左派」が「自虐史観」「非愛国的」などとよく揶揄されることからのネタ。

*6:というか「今回」と書くにはだいぶ古い話題になってしまいましたが。