そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

オンラインにおける性差

http://anond.hatelabo.jp/20090106194647*1)を見て、エントリそのものとは全然関係ないことがいろいろ頭に浮かんだ。

僕のブックマークコメント

ジェンダー 僕はもう旧来的な結婚も同性同士も友人同士も一対多数も多数対多数も連帯としてのシビルユニオンのパートナーもしくはフェローでいいと思います。

先述のエントリをご覧になればわかると思うが*2、あれはジェンダーの話でもなんでもなく、既婚の腐女子貴腐人?)が、ネット上では夫のことを「相方」などと呼ぶ印象があるからキモい! というようなことを言ってんのである。それはもう「ああそうですか」としか言いようがないので、そのことについて論評はしない*3


ここから話がずれる。


僕は、「結婚とは男と女がするもの」とかいう意見に懐疑的で、「結婚」に新しい概念を書き加え、「同等の知性による連帯」とするべきではないかと思っている*4。そんなことを言うと福音派が一個師団くらいの天使を派兵してくる恐れがあるので、もうちょっと穏当な言い方にすると、「結婚」というものを旧来的な「男女間に限る」ものと規定するにしても、それと同等の権利が与えられるシビルユニオン制度のようなものを作ったらどうか、と。


男性どうし、女性どうしなら、男女間同様にパートナーと呼べるだろうし(もちろん「相方」も可)、一夫多妻ないし一妻多夫ならフェロー(fellowは男性というニュアンスを含むようなので、この用語が適切かどうかは定かではないが)。そもそも性行為だけが結婚ではなかろうと思うので、生殖を目的としないような、気の合うTRPG同好会男6人女1人とか、やおい仲間女5人とかが結婚いや連帯したって別にいいんじゃないのにんげんだものと思わなくもない。「私が死んだら、恥ずかしい同人コレクションは誰にも見られないように処分してね。欲しいものはあげるから」とか遺言に書いておいたりして。


以前、「女装の似合う夫との間に子どもを作るかということを考えたとき、その夫が「父」というイメージにそぐわない存在だと思い始めたところ気になって気になって離婚することにした」というような匿名日記があった。それはその人たちの結論なので仕方ないけれども、母(のようなもの)ふたりではいけないのかな、とも思う。いや、もはや「母」や「父」も、もはや性差にまみれ過ぎた言葉といえる。いっそ「ふたりの親」でいい。


「ひとりの親」でも、あるいは「三人の親」でも、たぶんほとんどの場合、子どもの成長に重大な問題はなかろう。あるとすれば、第三者が、自らが信じて疑わない「幸福」のイメージを子どもに吹き込むような場合ではないか。働く父と家を守る母、などという前近代的なイメージは非正規雇用にも影を落としているようだし*5、もうちょっと考え直したらどうかな。


ところで、僕はネット上での他人の性別を考慮していない(つもり)。自分についていえば、(「私」というだけの威厳が備わっていないゆえに)「僕」という一人称を使っているので、どうしても男性であることが明白になってしまうのは残念だ(まあもっとも、僕が絶対に女性はでないと言い切れる人はそれほどはいないだろうけれど)。一人称に関しては、英語(欧州諸言語も中国語もか)って本当に楽なんだけどなーと言いたいけれどもそんなに英語できないってば。


デジタルネイティブチェックというのがちょっと前に話題になって、そこでは「オンラインで知り合った恋人がいる」とかなんとかいう項目がネイティブ/非ネイティブの判別要素としてあった。「それなんて都市伝説?」などと言う人もいたが、僕はむしろ、恋人の獲得云々でもって「デジタルネイティブかどうか」を決めようというようなものの見方こそアナログネイティブではないかと思う*6


現在のところ、オンラインのユニバース*7は身体を伴わないコミュニケーションだ。(ブロードバンドの普及でウェブカムボイスチャットなどの技術が導入されつつあるものの)Webには匿名性というより匿身性がある。この仮想世界での活動で本質的に重要なのは知性であって、容姿の美醜、障碍の有無、資産の多寡、職業の貴賤*8、その他の何でもない。そしてそれは男女の性差についても言える。


男性的/女性的メンタリティを見せるな、などとは言わない。しかし、無数のパーソナリティがディスプレイの向こうにいることについて、次のように考えるべきではないのだろうか:


同性や異性ではなく、人間がいると。

*1:リンク先間違えたので修正。

*2:2009.8.17追記:確認したら消えていた。

*3:僕は「相方」と聞くと、どうも漫才師しか思い浮かばないのだが、それはそれで良いのかもしれない。夫婦でボケてツッこんでおれって感じで。

*4:「同等」というと曖昧な言い方になってしまうが、かなり重要。

*5:夫の扶養下にある専業主婦の雇用と同様の立場に置かされる後ろだてのない若年労働者、というような意味で。

*6:え、もてないからって僻んでるって? 違います違います。そもそもデジタルネイティブじゃなくていいし。

*7:ずいぶんアメコミに毒された表現かもしれないけど、察してください。

*8:そんなものがあるとして。