そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

閾値はどこにある

アシモフのSFに「ロボット工学三原則」という設定がある。「ロボットは人間に危害を加えてはならない」とかいうやつで始まるアレ*1。でも、ロボットはなにをもって「人間」を判別するのだろうか? もし「ロボットが危害を加えられないロボット」が存在したとすれば、それはもはや人間ということになるのではないか?(なら人間とはなんだろう?)

宇宙が無限に分離していく、とかいう仮説があって、それによれば、ちょっとした選択によりパラレルワールドが発生するのだという。しかし、鼻の頭が痒くなった僕が右手を伸ばした場合と左手を伸ばした場合とで、はたして世界が分裂するのだろうか。僕が「らりるれろ」と入力するときに、キーボードのRで打つかLで打つかの違いでもって、この膨大な「宇宙」という情報が複製されなければいけないというのか。宇宙を内包する世界はそれほどまでに大容量なのか。それとも容量などという概念では推し量れないのか。

どちらかというと、もし仮にパラレルワールド発生仮説が正しいとしても、いま述べてきたような僕のささいな行動の違いは「誤差の範囲」として吸収されてしまいそうな気がする。そして、もしかすると人類という生物が誕生して地球という星にへばりついていることも、宇宙からすれば「誤差の範囲」で片付けられる些末な事柄なのではないかと、ときどき思う。そう考えて、どれくらいの大きな出来事なら並行宇宙を誕生させるほどのインパクトになるのだろうかと想像を巡らせてもみるのだが、もちろん答えは出ない。

cf. http://d.hatena.ne.jp/islecape/20090210/p1

*1:もっとも、アシモフは「原則が破られた。なぜ?」ということを主眼にお話を書いているのだけれども