そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

我流の陥穽 〜僕が世のお父さんお母さんに伝えたいこと〜

爪切りってありますよね、そう、あの「く」の字型になって、テコの原理で爪をはさんで切るやつ。

僕は子供のころ手のかからないいい子と言われてましてねぇ、や、なんかそれって前回のエントリでちょっと言及したように少年犯罪フラグみたいですけど、そういう話じゃないですよ。

で、爪切り。もう幼稚園に入る前*1から自分で爪切ってたんですけどね、え? 深爪とかしそうで危ない? あぁ、それは確かにそうですねえ……まあ僕の場合、偶発的な危機に対する察知能力は低いんですけど自分で刃物持ったときは慎重なくらい慎重だったので、そういう話でもなくてですね。

その爪切りを使うとき、刃を押し込む側のパーツの裏側に、金属の波打った部分があるでしょう? あるいは鮫肌か?って感じのざらざら。パーツのわりと全体だったり、ごく一部だったりという違いはありますが、アレ、爪を切るときに親指に引っ掛かったりしますよね。

一体アレはなんだろう、と、ずっと思ってたわけですよ。毎週爪を切りながら。滑り止めってわけでもなさそうだ。

でも、疑問に思いつつ、それを追求したりはしませんでしたね。だってそうでしょう、爪切りなんて、別に極めてどうなるというわけでなし、そもそもふだんの爪切りで問題なく日常生活も送れているわけですし。だいたい爪切りに説明書ってあるのか知りませんけど、物心ついたころからすでに家に人数分以上あって、壊れることもなく新しく買うこともなかったですしおすし。「よくわかる爪切り入門」といった本にお目にかかったこともありませんね。

ということでまあ、家族も含め他人の爪切りを見る機会もなく*2、何かの作品で爪切りのシーン最初から終わりまでの一部始終を見ることもなく、そのまま二十数年くらいたって、そこである日とつぜん気づいたんですよ。


「これ、ヤスリだ」


そうです、爪をざっくり切ったあとの角ばった部分を、アレで削れと、そういうことだったんですね。爪切りあとが尖らないよう、細かく刃先を動かしながら切ってましたよ、みんなてっきりそうしているものと思って……

物心つく前は、もちろん親に切ってもらっていたはずですが、自分で切り始める段になって、やり方の引き継ぎがうまくいかなかったようです*3。「爪を切ったあと、削って滑らかにする」という暗黙知は四歳児には通じず、そのまま自分のやり方で習慣の奴隷となってしまったと、そういうことなのでしょう。

これをもって世のお父さんお母さんに言いたいのは、あなたがたの小さいお子さんが、たとえおとなしく一人で爪を切ることのできるいい子だとしても、5ツイートつぶやく時間を割いて、一年に一回くらい爪切りを見てあげてください、ということです。そして、爪を切ったあと、どういう意図でもってヤスリをかけるのかということを、わかるように説明してあげましょう。なんなら十歳くらいまで。


まだ理路立てて話すには若すぎる良い子に代わって元・良い子からのお願いでした。


(それにしても、このぶんでいくと他にも自分では気づくことのない生活上の無知があるのだろうと思わずにいられない。トイレの作法とか怪しい)




おまけ:最近あった歯医者さんとの会話
医「歯ブラシの種類って、どういうの使ってます? 固さ」
僕「はい、『かため』です」
医「うん、それはどうして? 硬いほうがいいですかね?」
僕「いやあ、僕もいい年になりつつあるので、硬め、なのかなあと」
医「え?」
僕「え?」
医「いや、まだお若いですよね?」
僕「あ、じゃあ『ふつう』のほうがいいんですかね?」
医「ん?」
僕「ん?」
医「……」
僕「……」
医「…………」
僕「…………」
医「え〜……っと」
僕「確認ですが、歯ブラシの固さというのは、ちっちゃい子が『やわらかめ』で、10代くらいになって『ふつう』にして、大人になったら『かため』にするというのではないのですか?」
医「……違います…………」

*1:僕は幼稚園の入園が五歳から。

*2:「人前で爪を切るものではない」とは言われていたので、わりと人のいないところで隠れて切っていた。

*3:家族に確認したらもちろん知っていた。