そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

個人的な体験

悪夢のパターン/父との記憶

昨年のいまごろ、夜中とつぜん息苦しくなり、かつてないくらい心拍数が上昇した。これは救急車を呼ぶべきだろうか、人生で4度目の――自分で1度、父親で2度……そして父は"2度目"はすでに死んでいた――とか思いながら、死んだあと見られたら恥ずかしい物をど…

我流の陥穽 〜僕が世のお父さんお母さんに伝えたいこと〜

爪切りってありますよね、そう、あの「く」の字型になって、テコの原理で爪をはさんで切るやつ。僕は子供のころ手のかからないいい子と言われてましてねぇ、や、なんかそれって前回のエントリでちょっと言及したように少年犯罪フラグみたいですけど、そうい…

「人生とはこういうものでしょう」

冬は好きだが、寒さを覚えて古傷が疼く季節でもある。その疼痛を増幅させるような話を聞いた。「歩道を走る自転車と歩行者の事故」が目立つといって、警察が「自転車は原則として車道を走る」よう指導を徹底する方針らしい。あらかじめ断っておくと、僕は「…

Apple信者(だった)

なぜ労働者階級は文字入りの服を着ずにはいられないのだろう。これには滑稽などころか、いじらしくなる心理的な理由がある。〈スポーツ・イラストレイテッド〉*1、〈ゲータレイド〉*2と書いてある服を着ることで、彼らはいわゆる成功している企業と自分とを…

子供を連れ歩くことに寛容な社会であるほうがよいのではと思う

朝日新聞の投書欄に、「ベビーカーに子供を乗せていたら、周囲から邪魔者あつかいされた、もうちょっとどうにかならないのか」というような意見があった(古紙回収に出してしまい、すでに手元にない*1)。 それに対し、「ベビーカー」が「悪いとは思いません…

俺たちこそが力なんだよ――はるかアラスカ最底辺から

子供のころのある日、家に帰りつくと大いびきが聞こえてきた。もっとも、父がフリーランスだった僕にとっては普通のこと。なるべく邪魔しないように、一人でおとなしくおやつを食べていた。しかし、しばらくすると玄関ドアの開く音がする。なんと父が帰って…

コミケの話、といっても参加した話ではない。というのも僕はビッグサイトに行ったことがないもので

「確かにあんたの絵は上手いけど、コミケで同人やっても相手にされないよ」中学のころ、コミケ通いしていた(らしい)女子にそう言われて困惑した。コミケ? なに?同人というと、歴史的には「白樺」とか、あるいは近所の俳句の寄り合いとか、そんな認識だっ…

千円札は拾うよね

三年前の日記から(一部補筆); 何か落ちてる。あ、千円札だ、とか思って何げなく手に取ってしまったのが運のつき。たちまち責任がのしかかってしまったことに気付いた。拾ったのは集合住宅の共用部階段。僕は基本的にエレベーターを使わないので、階段に立…

要は勇気があってもダメなものはダメ

「で、私のどこが好きなの」そう言われて絶句した。ど、ど、ど、どこが好きなの……かな……?僕は突然の思いつきでとんでもないことをいろいろやる。そういうわけでその日、僕は突然の思いつきによって中学のころのクラスメートに告白に行ったのであった。寒風…

宵闇(DUSK)

秋めいてきたころだったか、電車賃をけちった僕はかれこれ三十分くらい歩いていた。まだまだ先は長い。それで節約できるのはたったの数百円である。川向うに見える高層ビルのイルミネーションを横目に、永代橋を渡り終えた。木陰に隠れたような、それでいて…

情けない男

私は必死となって、どうか小さな人たちを乗せてくださいと叫びました。けれどもそこからボートまでのところには、まだまだ小さな子どもたちや親たちやなんかいて、とても押しのける勇気がなかったのです。それでもわたくしはどうしてもこの方たちをお助けす…

対抗心

後ろに人の気配がした。不審なことはなにもない。僕は家に帰るところで、夕方の通りをふつうに歩いているだけだ。それにしても、じわじわと距離を詰められている気がする。僕を追い抜くほどの足の早さなら、背の高い男性だろうか……。違った。若い女性だ。僕…

人間は万物の尺度

この世界は、人間が観測しているからこのように認識されている。そのことに気づいたのは小学三年生か四年生のころだった。宇宙は人間を生み出した。しかし一方で、宇宙のありようは人間が定義している。人間という「自らを定義し、そして世界のすべてを定義…

罪と罰

中学のクラスメートだった彼の両親は食堂を営んでいた。僕はその店を知らなかったが、クラスメートたちはその「○×亭」という名前で彼を呼び、さすがにそう呼びかけはしなかったものの、教師のなかには、彼の店の話題をするものもいた。じき、他の多くのクラ…

あの日――

(この儀仗兵、いきなり叫んで彼を撃ったりしないだろうか)バカバカしいと思われるかもしれないけれども、僕はテレビの前で緊張していた。バラク・オバマが姿を現わしたとき。彼は、まだ大統領じゃないわけで――たとえほんの一瞬でも、アフリカ系アメリカ人…

傍観と加担と

彼女は黴菌あつかいされていた。僕が通っていた小学校は、ごく普通の公立校だった。ただ、その「ごく普通」は、僕にとっての「ごく普通」であって、他の人にとってはそうではないかもしれない。その小学校は、学級崩壊などない、(たぶん)給食費の未納など…

自衛手段が……

ここ数日、ちょこちょこと大掃除をしているのだが、僕はチリやホコリに対してアレルギーを持っているので、どうかするとひとり花粉症状態。こういったアレルギーは、人間が清潔な環境に暮らすようになってから、免疫系が暇を持て余すあまり本来無害な物質に…

ジャイアンの歌に耐える方法

2、3年前になると思うが、放送大学の英語(IV)の講議で興味深いテーマを扱っていたことがあり、何週か見ていた。テーマは面白いのだが、ひとつ問題があった。担当講師が番組の中でなぜかバンドを組んで歌うのである。それも、正直いって公共の電波に乗せ…

本に落書きする人は嫌いです

個人的な話をすると、僕の父はがさつな編集者だったので、我が家の本は耐久消費財扱い。ひどい扱われ方をしてダメになったらまた買いましょうみたいな感じだったが、僕は正直そういうのは嫌だ。70年も経ると紙でできた本なんかみんなボロボロになる定めなの…

恥はかかなかったがネタにはする

「十人並み」という言葉がある。辞書によれば、「容貌(ようぼう)などが人並であること」(岩波国語辞典第五版)とある。僕はそれを長いこと「人並み以上」と勘違いしていた。しかし恥をかくまえに辞書で調べたため正しい用法がわかった。やれやれ良かった……

びっくりだ

「隠れて生きよ」を信条にする僕。公園広場にてのんびりと100g500円のお茶を飲む丑三つ時の僕。そこへ颯爽と現れたのは超有名パティシエのダン・コガイ! 現われるやいなや僕のお茶っ葉をミキサーにかけ、それで作った抹茶タルトを味見して「うん、これは微…

そこにあるもうひとつの世界

「見られたくないなら、そもそもあんなに短いスカートをはかなければ良いのに」僕からすれば、もう60にもなろうという人が、そんな浅はかなことを言うとは思わなかった。前後の文脈から考えても、若輩にはうかがい知ることのできない定見が込められた言葉と…

なにが彼らの幸いか

僕は子供のころから内面がとてつもなくひねくれているのだが、見た目はいかにもいい人ふうでよく道を尋ねられるし、どこからどう見ても華奢でおとなしそうでじっさい人を殴ったこともないし、光源と見る位置によってはそれなりに金と力はなかりけりてな感じ…

個人的な体験

図書館とホームレスの問題について、ネット上が騒がしくなっている。図書館を通り越して「社会とホームレス」みたいに話がずれたりもしているが、もちろんそこに問題視されている人たちの意見はあるはずもない。東京23区内の話である。数年ほど前のことだっ…