そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

トラックバックへの返答

前日のエントリにトラックバックをいただきました。

うさたろう日記 はてな版。
http://d.hatena.ne.jp/usataro/20090526/p1

まずはお忙しいところをお邪魔して申し訳ありません。

念のため書き添えますと、id:usataroさんのコメントに対し、訂正や削除を要求するような意図はありません。今回の僕の行動は、核実験という「暴挙」(強い口調で「度し難い愚挙」とかいうべきでしょうか?)に対する「義憤」を――北朝鮮という(「弱小国家」と見られているとはいえ)とても個人では対抗できない集団ではなく――市井の文筆家であるid:mujigeさんにぶつけてうさを晴らしているだけなのではないか? という疑問を感じたことによるものです。本当に憤りを感じるのであれば、北朝鮮の独裁体制が崩壊するまで、自分のメディアで、自分の言葉で批判を続けるべきで、ブックマークコメントを残すだけでそれっきり書き逃げする人が多いため、「意見があるなら書けば?」と挑発することが僕のエントリの主眼でした。

「大雑把な」分類をしたのでid:usataroさんも混じってしまいましたが、「「構造的問題」への理解に対して「政治的判断」に対しては批判をする」ご意見はまったくその通りだと思います。「国語の偏差値がナントカ」などと偉そうに言ったわりに100文字制限のコメントでその意を汲み取ることはできませんでしたので、エントリを書いていただけたことはたいへんありがたく思っています。

id:usataroさんが、id:mujigeさんのエントリにコメントを残さず、ご自分のダイアリーで意を尽くして批判なさっていたならもちろん言及しませんでした。id:usataroさんからすれば、「ちょっとひとこと書いたら何か勘違いしたトラックバックが飛んでくるなんて、おちおちコメントできないじゃないか、めんどくせえ」というふうに思われるかもしれませんが、僕は「100文字だろうとなんだろうと、世界に向けて言葉を発する以上は誤読されようが非難されようが、それが文責というものだ」(それはid:mujigeさんにも、もちろん僕にも言えますが)という考えなので、エントリを強要するような態度について恐縮はしていますが、反省はしていません。心苦しい面はあるのですが、今後も同じように行動します(機嫌の悪い野良犬と鉢合わせして噛み付かれたという感じであきらめていただけないでしょうか)。

で、

>これはmujigeさんの解釈以外の解釈の可能性に対するレッテル貼りであると言わざるをえない

>自分の解釈以外を認めない文章だという意味での「政治性」だ。islecapeさんは、その「政治性」にあまり気づかないまま大雑把に批判を試みているような気がする。

>こういうことを言うのもなんだが、この「政治性」がなければ、mujigeさんの記事はもっと広く理解してもらえるんじゃないか。

これはid:mujigeさんに対してよくなされる批判です。d:id:mujigeというだけで身構える人もいるようですし、「主張が頑な」ということについては、僕も三割くらいはそう思います。しかし七割は反対です。誰かの意見が「その解釈以外は認めない」と言っていることを理由に、その論旨を「広く理解」してもらえないという状況に僕は異を唱えたいと思っています。

id:mujigeさんの主張に「ある一定の理」を認めるなら、彼が「自分の反対意見に敵愾心を抱く」ことの是非とは別に、ただその主張を評価してしかるべきではないか(お立場を伺った今、id:usataroさんのコメントはまさにそれだと思いますが)、そしてその「拭いきれない違和感」を直接id:mujigeさんに伝えるべきではないかと思うのです。

「きわめて安易な北朝鮮バッシングに流れがちな日本にあって」「文章に内在する「政治性」によって読者を狭くしてしまっているのはもったいないように思う」――それはid:mujigeさんの責任なのでしょうか。

id:mujigeさんの主張が頑なだから、政治的だから、偏っているから……それで最初から否定され、コメントスクラムが起きるというなら、それは知性的な態度とは思えませんし、id:usataroさんが、id:mujigeさんのエントリが「そういう状況になりがち」であることを承知の上で、コメントスクラムへの対抗よりも、ごくありふれた毒にも薬にもならない意見を述べることを優先したというのであれば、僕は批判的です(というのは個人的な価値観からくる感情ですので気を悪くされるでしょうが、思うところをあえて述べました)。

それは僕が、非対称性の優位から「日本で北朝鮮を批判」するより、非対称性の劣位から「日本で北朝鮮について述べることに向けられる敵意を批判」することを、表現の多様性の観点から優先すべきと考えているゆえです。

僕自身まだ未熟なところばかりですので、お気付きの点がありましたらどうぞご批判ください。