そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

絵を描くという日常動作

絵を描くということは、なにか特殊技能のように思われるふしがあるのだが、実際のところは文章を書くのと同様に、ひとつの表現手段に過ぎない。もちろん言葉は表現であると同時に芸術たりうるもの。普遍的なただの言葉によって成り立つ*1美はある。

絵もまた然り。絵を描けばそれがすなわち美なのではなく、その表現結果によって表現それ自体が自らを証だてるのが美なのであって、ただ小奇麗な絵があるからといって、その内容が陳腐であるとすれば、それは美ではない。ただの表現である。

この国には、絵を描くひとは大勢いるけれども、ほとんどの人は美というものに対する畏怖とか、人間性やら真理やらの深淵を覗くための方法とか、そういうことは(おそらくほとんど)考えず、気軽な、日常の自己表現としての絵を描いている。そして僕は、それ自体はいいことではないかとも思う。自己表現のツールとして、そのような技能を獲得することは。

などということを、ちょっと上手な絵を見て思ったけれども、別にこの思いつきに固執するわけではない。音楽を奏でることはどうだろう?

*1:あるいは誰も使わない表現を用いるものもいるけれども。