そこにいるか

個人的な体験、その他の雑感

頭がいいって何?

勉強が出来る=頭がいい? - はてな匿名ダイアリー
http://anond.hatelabo.jp/20081221200806

を読んでちょっと考えて、妙に盛り上がったのを見てさらに考えた。

タレス*1が、「頭がいいからといってなんになる」などと言われたときのこと。

ロドスの人ヒエロニュモスは『覚書雑纂』第二巻のなかで、タレスは金持ちになることがいかにたやすいことであるかを示そうとして、オリーブが豊作になるのを見こした上で、すべてのオリーブ搾油機を借り占めて、そのようにして莫大な財産をためこんだという話を伝えている。

ディオゲネス・ラエルティオス著『ギリシア哲学者列伝』(上)
加来彰俊訳・岩波文庫

とかなんとか*2

はたしてオリーブ絞りだけで一財産築けるのか? ということはさておき、結局「頭がいい」というのは現世利益と結びつけて考えられるのではなかろうか。「才能がある」もそう。稼げる者が、「頭がいい」「才能がある」と見なされる。要するに資本万能主義である。

そう考えると、「勉強ができる=良い大学=良い就職」ということで、「=頭がいい」を付け足してもよさそうだね。最近では通用しなくなってるというけれども(こんなふうに書くと、僕は「勉強ができる」ことについて否定的な考えを持っているかと思われるかもしれないが、そういうわけではない。念のため*3)。

勉強ができる人を僻む人の精神はいかにも浅薄である。だがそれよりも、勉強ができたがゆえに疎外感を味わったあげく今や強者となった(はずの)人間が、募る恨みをこじらせて「あんなアホどもと一緒にさせておくと、勉強のできる(自分たちの)子どもに負担がかかる。ゲーテッドコミュニティを作るべきだ。パージだパージ!」*4とか言い出したりしないかなあと、少し心配だ。


このエントリは、ほとぼりが冷めてからさらに続く予定です。

あと、別口でこういうのも書きました。

才能って何 - p11015
http://blog.goo.ne.jp/islecape/e/f92b2e00e26863ffa697652900d0f109


■同日覚え書き追記:「理系兼業主婦日記」からどんどん話が広がっていますが、はてなの特性?ともあいまって、ギフト持ちみたいなレベル高過ぎな話になりがち。はてなは鬱積したインテリの巣窟でもあったのか。

僕自身は、元エントリを読んで、ワーキングクラスコミュニティ内の「できる子」が「なんか生意気でムカつく」などといじめられるという構図と、ロウアーミドルコミュニティ内の「できる子」が「あいつだけ上級学校に行くのかよ」などと嫉妬されていじめられる構図と、アッパーミドルクラスの「できる子」が、がり勉タイプでいじられるという構図が頭に浮かびました(それ以上は僕の知らない世界なので……)。

それにしても、いじめる側、嫉む側の視点が全然出てこないのは、彼らが語るべき言葉を持ちえないということだとしても、対話できませんねえ。

*1:ギリシャ七賢人の最初の一人。

*2:もう少し具体的な文章で読んだと思ったのだが、手近に資料がなかったので。引用書の訳注によれば、アリストテレス政治学』第一巻第十一章にもこのエピソードがあるそうな。

*3:僕は子どものころI.Q.が極めて高かったけれど、学業の方は「ちょっとできる」程度でした。

*4:資本主義社会のエリートが「パージ」はないか。